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メタボリックシンドローム 美容目的のダイエットと区別

 
knk070928000-1.jpg 生活習慣病につながるリスクがある内臓脂肪型肥満。その解消はこれまで、美容目的のダイエットと明確に区別されないまま、軽視されていました。しかし、来年度から本格的な対策が始まります。肥満の人を、高血糖や喫煙歴など、リスク因子の数で3段階にグループ化。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人をはじめ、病気の手前の人には、計画的に脂肪を減らしてもらう保健指導が行われます。

 「最近、凝っているのはビリーズブートキャンプ脂肪燃焼スープ、加圧ダイエット。それに、『いつまでもデブと思うなよ』の著者の岡田斗司夫さんが50キロ減量に成功したレコーディング・ダイエットですね」

 千葉市の会社員の女性(33)、さまざまなダイエット法に取り組んでは、三日坊主に終わる。

 今年初めに、短期間でやせるというダイエット法を実践し、1週間で5・5キロ減量に成功したが、すぐにリバウンド。その後も5つのダイエット法に挑戦した。「ちょっとはやると、試してみようかなと思うんです」と、失敗しても気にしない。

 この女性の場合、ダイエットは趣味の1つ。ぽっちゃりした体形が悩みだが、健康上の問題はない。しかし、男性に多いポッコリおなかが出るタイプの肥満は、深刻だ。このタイプは内臓脂肪型肥満のケースが多く、放っておくと、心筋梗塞(こうそく)や糖尿病など生活習慣病につながるリスクがある。

 40歳以上の男性では、2人に1人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とその予備軍。ところが、これまでは気ままなダイエットと病気予防とが混同され、肥満の解消は軽く考えられていた。内臓脂肪型肥満も放置されてきた。

 「肥満対策で成功した国はない。日本でも従来の肥満対策は、不特定多数に情報を提供する方法が一般的で、大多数が情報をつまみ食いしていた。今回は、対象を病気になる前の人にしぼったのが特徴だ。リスクの高い人に個人的にアプローチし、対象者にとって意味のある話をする」

 日本栄養士会の会長を務める神奈川県立保健福祉大保健福祉学部長の中村丁次教授は、こう話す。

               ◇

 生活習慣病の増加を背景に、国は来年度から新しい健診・保健指導を市町村や健康保険組合などの医療保険者に義務付けた。内臓脂肪に着目した予防重視型で、40〜74歳の約5600万人を対象にした大規模なものになる。

 健診で病気の手前のグレーゾーンと判断された人には、薬を使わず、食事の管理や運動など生活習慣の改善によって、病気の予防につなげてもらう。そのため、医師や保健師、管理栄養士が個別の保健指導を行う。

 従来のやり方は、パンフレット配布や講習で「油の摂取を減らす」といった一般的な情報提供。しかし、個別指導では本人の性格や家族状況、職場環境なども踏まえ、「毎日、体重を記録する」など、実際に行動に移せるようサポートする。

 グレーかどうかの判定基準は、内臓脂肪蓄積の程度。それに高血圧、高血糖、脂質異常、喫煙歴のリスク要因の数だ。グレーゾーンでも特にリスクが高い人には、電子メールや電話による励ましを継続して行う場合もある。

 6カ月後には、身体状況や生活習慣の変化を確認して評価しなければならないから、指導する側も責任は重大だ。

               ◇

 中村教授は「リスクマネジメントによる肥満対策に国を挙げて取り組むのは、日本が初めてではないか。戦後の食糧難の時代には、栄養失調を解決するため、国策として欧米食を勧める栄養指導を行った。今回は過剰栄養の解決に、栄養士が大きな役割を果たすことになる」とみる。

 昭和20年代の日本では、学校給食の導入に加え、栄養士が日本中を回り、田んぼのあぜ道まで入り込んで栄養指導を行った。地域や所得の格差なく、栄養状態が改善された人々は、高度成長を支える基盤となった。日本人の体格は年々、向上し、健康や栄養に関心の高い国民性も培われた。

 ところが、バブル期の日本では、さかんに宴会を開き、飽食にふけった。おなかがポッコリと出た内臓脂肪型肥満は、いわばバブルの“後遺症”。今度は、過剰栄養を解決する必要が生じたという。

 中村教授は「気ままにやるダイエットと違い、専門職の指導を受ける以上は簡単にやめられない。かつて日本人が栄養失調を解決したように、過剰栄養も乗り越えると、私は信じている」と話している。

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